とある会社で新入社員だったころ、せっかく学んだ中国語が仕事で活かされない焦りと若気の至りで、仕事の内容に文句ばかり言っていました。そんな日々が続いたある時、部長から冗談交じりでこんな例え話をされたことがあります。

俺だって「右手にナイフ」「左手にフォーク」で食事をしたいんだ。でももし無人島とかに流れ着いてそういった便利な道具が無ければどうする?

できるかぎり「ナイフらしい形をした石」や「フォークに近そうな枝」を探しだして食事するだろう?上司と部下の関係は上司から見るとこんな感じなんだ。

当時は若さゆえ気づかなかったのですが、エリート社員で若くして部長に出世し、管理される側とする側両方の記憶が新しい御本人としてのかなり実感を込めた言葉だったのだと思います。

その後、台湾に来て雇う側に回ったり、また雇われる側に戻ったり、立場はコロコロ変わっているのですが、上記の言葉をよく思い出します。

台湾の日系企業の場合、まず語学力(台湾人には日本語力、現地採用の日本人には中国語力)を求める会社が多いのですが、更に関連業務経験も必須にすると、なかなか人材が見つかりません。よって語学力か業務経験のどちらかに関してはある程度条件を緩和せざるを得ないと思います。

この場合、新しい仕事に上手く馴染めるかどうかは長い目で見ていかなくてはならないし、どうしても合わない場合もあると思われます。これは雇う側にとってもリスクですが、雇われる側にとっても同じリスクであることに目が向く人は意外に少ないと感じます。

逆にこういった部分を見ることが出来る人の下で働くと、仕事しやすいなと感じることが多かったです。仕事とはいえ、せっかく縁があって一緒になっている仲間なので、できるかぎり上手くやっていけるように双方で努力できれば良いなと思います。

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旧正月期間(2012年は1月後半)久しぶりに日本へ一時帰国しました。誇張抜きで日本は輝いて見えました。

まずビルやお店の看板、道なども定期的に清掃しておりピカピカです。1泊5,000日本円程度の安いビジネスホテルに泊まっても、清潔だし、シャワーもたっぷりお湯が出ました。レストランや居酒屋に行くとすばらしい笑顔と積極的なサービス、もう少しで「俺に惚れているのか?」と勘違いしそうでした(笑)。

品川や東京駅などはたくさんの鉄道路線が集中しており、それがスムーズに運行されている姿、さらに駅の中のサービスも改善され、百貨店が運営され、改札を出なくてもたいていのものは買えるようになっています。さらに新幹線では雪という止むを得ない理由でわずか5~10分しか遅れているのにもかかわらず、何回も「お詫び」のアナウンス。

久しぶりに東京ディズニーシーにも遊びに行きました。園内はたくさんの人、アトラクションには長蛇の列。でも誰も喧嘩しませんし、道端で用を足したりする人はいません。上の写真は東京ディズニーシーの夜景なのですが、手持ちで撮影したのにもかかわらず、良く取れています。5万日本円程度の日本製コンパクトデジタルカメラで撮影しました。もちろんアトラクションやキャスト(スタッフ)のサービスもすばらしかったです。

昔は日本の物価は高いと言っていましたが、靴やユニクロなど、中国製であっても、日本の会社が企画したものはやはり安くて良い品が多い。100円ショップなどもそう。結構日本で買い込んでしまいます。

あと日本で買い込むものは書籍です。言葉の問題もありますが、企画・内容面でとても創意工夫があり、面白い物が多い。台湾では漫画のみならず、ビジネス、PC関係、趣味、美術など色々な分野で日本で出版された本の翻訳版が良く出ています。

日本では当たり前だと思っている製品品質やサービス、住民の素質など、海外ではなかなか得られないものです。こんなにすばらしい国にもかかわらず、「日本がダメだ」と言いつづけている人がいらっしゃいます。これは不思議な感じがします。

たぶん私が海外に住んでいるのでそういう話をされているのかもしれませんが、むしろ逆で「日本がすばらしい」からこそ海外に住んでいる日本人に意味があるのです。日本人である私が台湾でそれなりの尊重を受けられるのは、日本という国の力が背景にあるからです。

日本は米国やロシアや中国などと違い、核兵器を持っているわけでも、強力な軍事力を海外に展開しているわけでもないので、まさしく先ほどあげた経済や技術、ソフト面での力が効いていると理解しています。まさしく先達の努力の賜物ですね。

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未来を予測することを「雲をつかむようなもの」という言い方があります。未来というのは常に流動的で、本当に雲をつかむようなものなのですが、長年努力すると願い叶ったりすることもあり、簡単に諦めてはいけないなとも思います。私が今台湾で働いていることは、10年以上前の自分自身では全く予想できないくらい、遠い遠い目標だったことを思い出します。

とは言いつつも、良く頂戴する「どうすれば台湾で働けるようになりますか?」という質問に対しては、余り楽観的なお返事をしないことが多いです、普通に考えると色々大変で、「夢」の一言で片付けられる単純な問題でないことを痛いほど実感しているからです。

また、わざわざ「平凡人」と名乗っているとおり、私は台湾に住み、ある程度中国語(北京語)を話せる以外は、本当に普通の人です。正直私からアドバイスできることは何もありませんが、ここでは私や周囲の経験を書いてみたいと思います。ご参考になれば幸いです。

まず現地採用の道ですが、台湾にいる日本人で例外的にお金をもらえるのは働いて稼げるのは「芸がある方」のみで、日本人というだけでは給料は期待できません。たとえば現地採用として台湾にいながら給料をいっぱいもらっている日本人にはこんな方がいます。

・台湾の半導体・液晶製造会社の技術顧問
・欧米系企業の社員(もちろん英語も実力もバリバリ)
・台湾起業成功者(もちろん「老闆(ラオパン)」)

もし「芸」の部分で自信が無いのであれば、特に学生の方は、まず普通に就職して日本のサラリーマンを経験し、社会人としての基本や会社の運営の実際を間近に見ることをおすすめします。

ずいぶん昔の話ですが、私も学生時代に北京に留学した後、現地採用として北京に残るか悩んだことがあります。結局日本で普通に就職してしまい、かつほぼ毎日終電で帰るような忙しい数年間を送りましたが、実はこのときに学んだことが後に活かされています。そのうち詳しく書こうかと思いますが、その当時はその経験の価値が余りわかっていなかったのが面白いというか未熟だったところだと反省しています。

もう一点、当たり前ですが日本人を一番必要としているのは日本の会社なのです。上手くいけば駐在員になれるかもしれませんし(数年で帰らなくてはいけませんが)、少なくとも年金・保険、住宅手当、交通費支給など、日本の会社の待遇を捨てる覚悟を冷静に持てると思います。ビジネスには勢いも必要ですが、まずは色々なリスクとも向き合う覚悟がないと後悔すると思います。

外国人としての台湾にいる場合、台湾人とは違い様々な保障がありませんし、不当解雇に対して強く言えず、そもそも解雇されたら在留資格も確保できません。極めて不安定な位置であることを認識する必要があります。

上記から考えると、私は「とんでもない大馬鹿者」ということになりそうですが、本当その通りだと思います。台湾でも日本でも路上生活者を見かけますが、見る度に「明日はわが身かも知れない」という気持になります。でも敢えて覚悟して台湾に来ています。

台湾で働きたい方は色々なリスクについて再考してみてください。そして、リスクをどう感じ、どう処理するかは他人に相談することではなく、ご本人の決断にかかっていることを忘れないようにしてください。

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